AI半導体投資記事の用語解説:WACC・EV・Jevonsのパラドックス

先日公開した「NVIDIA GTC 2026:Vera Rubinが変える半導体投資の地図」では、投資分析に使われる専門用語がいくつか登場しました。この記事では、それらの用語を一つひとつ丁寧に解説します。

WACC(加重平均資本コスト)

WACC(Weighted Average Cost of Capital)とは、企業が資金調達にかかるコストを加重平均した指標です。株主資本コストと負債コストを、それぞれの比率で加重して計算します。

投資分析においてWACCは「割引率」として使われます。将来のキャッシュフローを現在価値に換算する際、WACCが高いほど将来の利益は割り引かれ、企業価値の評価は低くなります。金利上昇局面ではWACCが上がりやすく、成長株(特に半導体・AI関連)の株価が下落しやすい理由がここにあります。

EV(企業価値)

EV(Enterprise Value)は、企業全体の価値を表す指標です。計算式は以下のとおりです。

EV = 時価総額 + 有利子負債 - 現金・現金同等物

株価(時価総額)だけでは見えない、負債や手元資金まで含めた「買収したときの実質コスト」に近い概念です。EV/EBITDAなどの指標と組み合わせて、銘柄間の割安・割高を比較するときによく使われます。NVIDIAのような高成長企業では、純利益ベースのPERよりEVベースの指標が重宝されます。

Jevonsのパラドックス

Jevonsのパラドックスとは、19世紀の経済学者ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズが提唱した概念で、「技術革新によって資源の利用効率が上がると、かえって総消費量が増える」という逆説です。

AI・半導体の文脈では、推論コストが下がることで利用者が爆発的に増え、結果としてGPU需要が減るどころか増加するという現象を指します。Vera Rubin GPUが「推論コスト1/10」を実現しても、AIの用途が広がることでデータセンター投資は拡大し続ける——という強気シナリオの根拠として、この概念はよく引用されます。

まとめ

投資記事に登場する用語は、個々の意味を理解するだけでなく「なぜその文脈で使われているか」を理解することが重要です。WACC・EV・Jevonsのパラドックスはいずれも、AI半導体投資の強気・弱気シナリオを読む上で欠かせないフレームワークです。今後の記事でもこうした用語を随時解説していきます。

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