| 各資産クラスへの影響 |
| 米ドル 米国の利下げが続くと、日米間の金利差が縮小し、相対的にドルの魅力が低下するため、 円高ドル安が進行する傾向がある。例えば、2024年9月にFRBが0.5%の利下げを公表した後、日米金利差縮小の予測から円高ドル安が進行した。また、2024年11月にFRBが 0.25%の追加利下げを公表した後も円高ドル安に動いたが、市場予想内であったため影響 は限定的であった。 米国債券 通常、金利の低下は債券価格の上昇につながる。過去の利下げ局面では、景気後退懸念が高まったことなどから、株式と比べて安全性の高い資産である債券が選好される傾向が見られた。特に、利下げ局面における債券のパフォーマンスを国債の年限別にみると、年限が長いものほど高リターンだったことが示されている。 今後、米国が利下げ局面に入った場合、日米金利差の縮小に伴い、外国為替市場では米ドル安/円高が想定されるものの、債券の価格上昇が円高による影響を緩和すると考えられる。特に、年限の長い債券ほど金利低下時の価格上昇が大きくなると期待される。 コモディティ資産 ゴールドマン・サックスのアナリストは、FRBによる利下げがコモディティ(商品)セクターに即座にもたらす価格押し上げ効果は銅が最も大きくなるとの見方を示している。利下げを受けた米2年物金利の100ベーシスポイント(bp)低下による当面の価格押し上げ効果は、金属が最大で、特に銅(6%)が大きく、金と石油(ともに3%)が続くとされている。 一方で、天然ガスや農産物については、季節的な在庫サイクルや天候などのミクロ要因が利下げの影響を上回るため、価格への大きな影響はないと予想されている。 |
| チャート関連情報 |
| ドル円相場 過去の米利下げ局面におけるドル円相場の動きは、「利下げそのもの」よりも、「利下げ後のイベント(国際的な通貨合意や金融危機、米中の政治的緊張など)」に、より強く影響を受ける傾向がある。今回は米利下げでドル安・円高の可能性が高いと予想されるが、利下げ後の予期せぬ金融危機の発生や、米中の政治的緊張の高まりなどには、十分な注意が必要である。 金(ゴールド) 金価格と米国金利の間には、単純なセオリーとして「金利上昇=金価格下落」「金利低下=金価格上昇」の逆相関の関係があると言われるが、常にセオリー通りになるとは限らない。過去には、米金利が上昇する中で金価格も上昇したり、米金利が低下する中で金価格が下落したりする時期もあった。 金融市場における重要な要素はすべてつながっており、金利と為替がリンクし、それが金価格に影響を与える。したがって、現在進行形の市場のテーマや、米国をはじめとする主要国の金融政策、経済情勢などを理解し、その時点で金価格形成に影響を与えるテーマの比重を考察することが重要である。 |
| 結論 米国の利下げは、米ドル、米国債券、コモディティ資産にそれぞれ異なる影響を与える可能性がある。米ドルは利下げにより円高ドル安に傾く可能性があり、米国債券は金利低下により価格が上昇する傾向がある。コモディティ、特に銅は利下げによる価格押し上げ効果が期待される。しかし、これらの関係は単純ではなく、利下げ後の予期せぬイベントや、市場のテーマ、他の経済要因によって影響を受ける可能性があるため、今後の動向を注意深く監視する必要がある。 |
| 参考文献 [1] ブルームバーグ. 「パウエル議長、金利は当面据え置きへ-関税でインフレ加速見込む」. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/ [2] 日本経済新聞. 「米長期金利、1カ月半ぶり低水準 利下げ観測高まる」. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUBDVCA/ [3] 第一生命経済研究所. 「FRBは「予防的利下げ」に傾く?」. https://www.dlri.co.jp/report/macro/ [4] MUFG Money Canvas. 「アメリカFRBの利上げ・利下げは日本にどう影響する?」. https://moneycanvas.bk.mufg.jp/know/column/nXVZNAtjQB/ [5] 日興アセットマネジメント. 「米国での利下げ局面における株式・債券のパフォーマンス」. https://www.nikkoam.com/market/rakuyomi/ [6] ロイター. 「FRB利下げ、商品価格押し上げ効果は銅が最大=ゴールドマン」. https://jp.reuters.com/markets/world-indices/ [7] 三井住友DSアセットマネジメント. 「過去の事例から考える米利下げ後の日米金利差とドル円相場の動向」. https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/ [8] OANDA. 「金価格と米国金利の関係」. https://www.oanda.jp/lab-education/metals_basic/gold/gold_cost_us_interest_rate/ |
参考資料
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。


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